№047 '07ツール・ド・熊野前編

ロードレースの魅力、俺の中では誰がなんと言おうと一般公道で行うことだ。
サーキットレースも悪くない。でもロードレースである以上、一般公道のほうが断然楽しいし、一般公道でしかない路面の状況変化など、それに対応した能力を問われるのも事実だ。
俺がもし日本人のロードレーサーの中でほかの選手よりも優れている点を自分で挙げるならば、多分路面を含めての環境の状況変化を読む、過去のデータを瞬時に引き出して勝負をどんどん進めていくことだろうと思っている。意外に思われるかも知れないが、2004年以降の勝利、一般公道でないのは白浜クリテリウム(飛行機滑走路周回)、舞洲ロード(一般行動でない)のみ。
美山ロード、丸岡ロード、福知山クリテリウム、熊野の2ステージ、けいはんなロード・・・すべてサーキットではない。海外のロードももちろん一般公道だ。

この熊野のレースは前ステージ一般公道で行われる。
第1ステージは新宮から北上し周回コースに入って正式なスタート。毎年序盤からアタックが繰り返される。今年も例年と同じような展開で始まる。
マトリックスチームの作戦は、俺がスプリントを取りにいくために列車を形成していく、というのが基本作戦だ。
だが絶対逃げが決まらないというわけではない。
何度か危険な逃げが決まりかけるも、俺自身もスプリントを待つのではなく、積極的に小グループに絞っていく方向で仕掛ける。
何度もアタックを仕掛けるが成功しない。コースが追い風と向かい風のパートがほとんどのため、攻撃をする選手の労力のわりに追従する選手が思いのほかフレッシュだ。途中で今日の区間はもしかするとクラブチームにさらわれるかも?と本気で考えたほどだった。
途中で総合優勝を見据える選手たち、狩野や田代と言った選手らと抜け出しをはかるが、後続に猛追され吸収される。

ゴールに近づきチームメートの援護を受ける。
ここまでそれなりに脚は使ってしまったが、チームが助けてくれるので気分的に楽だ。
愛三が基本的に列車を作り、綾部を勝たせるべく動いてくる。
今回西谷のコンディションが良いかも?と思ってチェックしていたが、中盤に落車し脱落。今のチームの雰囲気だと綾部のスプリントの流れはまず間違いないだろう。
そして少し気になっていたのがニッポ・コルナゴの外人選手の動きだ。
体型的にもスプリントは強そうだし、なにより真鍋が献身的に動いている。
そして鹿屋体育大学の角。
まだ若い選手だが、年末のサウスチャイナシーでもすばらしいスプリントを見せていた。まともにスプリントをされると手に負えないかもしれない。どの選手を見ていくか難しいところだが、まずはチームの列車、そして一番不穏な気配のニッポラインをマークする。

ラスト1キロを切り、向かい風がきつく集団の位置取りが難しい。スピードが上がってくれれば前方は細長くなるのだが、向かい風の影響でやや広がっている。その中で真鍋が下がる。そして後方の外人もそのまま下がってしまったため、俺も巻き添えを喰らって位置を下げてしまう。
集団が伸びていなかったことで集団の中に飲み込まれるが、もう一度踏みなおして脱出。ただ有力と見ていた選手のラインから少し離れ、そして献身的に働いてくれていた向川からも距離を開けてしまう。
最終コーナー手前でなんとか角を視界に捕らえる。
そして最終コーナー。
限界域でのスピードでコーナーに突入し、少しアウトに膨らんでラインを修正してきた角と接触。俺は右足が角の後輪に入る。そのまま二人とも失速し伸びず、俺は4位に終わった。
優勝はミヤタの鈴木真理。去年に引き続きこのステージ2連勝だ。最終コーナー手前で先頭に立ち、そのままゴール。ラスト300mあたりから真理の後ろをマークしていた辻が3位に入賞した。

区間
1位鈴木真理(チームミヤタ)
2位綾部勇成(愛三工業)
3位辻善光(マトリックス)
4位大内(スキルシマノ)
5位三船(マトリックス)
6位角令央奈(鹿屋体育大学)
以上同タイム