№004 05-06関西シクロクロス第2戦 野洲川

3rd place in Yasugawa


日本のシクロクロスレースの中で、全日本選手権以外で唯一UCIのランキングポイントが得られるのがこの野洲川のレースだ。
過去にはチェコのパヴェルなども参加し、このコースは世界に通ずるものがあるというコメントからも分かるとおり、会場の制約等でどうしてもヨーロッパのようなダイナミックなコース設定ができない環境の中で、よく出来ているコースだと感じる。
もちろん本場のようにアスファルト道路使用やコース幅など、まだまだ難点はあるかもしれないが、今はまず与えられた環境の中でベターなものを作る方が必要ではないだろうか?

今年は元世界チャンピオンに2回なったポントーニが来日。
今季で引退する彼にとって、有終の美を飾るべく本気で来るのは間違いない。もし俺だったら絶対負けたくない、彼とて同じ思いなはずだ。容赦はしないはず。その方が有難い。
コースは去年と基本的に同じだが、ポントーニが異常なスピードでラップアウトし「大量虐殺」対策か、グラウンドで若干距離を伸ばしている。それ以外は特に変更はない。後は林の中でテクニカルさが増したことか。

試走の段階でどういうセッティングにするか悩む。
タイヤはTUFO・エリート32㎜。俺のスタンダードだ。そして空気圧は試走の結果2.5気圧にする。後半の斜面のアップダウンで若干タイヤがよれそうだが、まずは林や岩場、そして砂の浮いた路面でのグリップを優先する。川原付近の岩場さえ気をつければ、パンクはしないはずだ。
(実際、斜面でのコーナーではタイヤはよれていたが問題はなかった)

スタート位置は前年度の成績で1列めでスタートすることが出来た。
前列はポントーニ、辻浦、小坂・・・スタートを待つ時間、徐々に集中力を高めていく。
スタートは若干出遅れる。しかし大丈夫。しっかり踏めるこのスタートの直線なら問題ない。俺はポントーニの後ろに付ける。ゆっくりどこでどうやって仕掛けるのか見せてもらおうか。
そう思ったのも束の間、第2コーナーで予想以上に前のスピードが落ち、逃げ場を失ってイン側へ。そのまま落車した。
かなり自分なりに耐えたが結局落車してしまった。すぐにリカバリーして立ち上がるが、何せスタートしてまだ30秒ほど。集団は一列なので一気に位置を下げてしまう。多分15番手あたりまで下げてしまった。河原へと降りる斜面で渋滞にあい、先頭を走る辻浦とポントーニは視界から消えつつある。

斜面を登り次の下りへと差し掛かる。そのときにブレーキレバーに違和感を感じる。どうやら左側の人指し指の肉がえぐれ、レバーに血がついて滑るし、おまけに人差し指でレバーが引けない。下りで何度かコントロールしにくい場面がある。集中していかないと取り返しの付かないことになりかねない。気合いを入れなおして前を追走する。

白石(シマノドリンキング)に追いつく。この時点で5位。ポントーニ、辻浦、小坂、丸山が前にいる。まずは前のグループに向けてもがく。

そして中盤でようやく3位争いに合流。しかしこのグループは序盤のハイスピードで売り切れているのか、風のきつい「踏まなきゃいけない」区間で全然伸びていない。これじゃここで休んでから、と言うのは通用しそうにない。俺はそのままペースアップを図る。
丸山、白石はここでドロップ。そして小坂さんにもテクニカルパートで徐々に差を広げ、辻浦を追走。しかし俺自身もここまで無駄な労力を使い続け、思ったほどスピードも上がらない。それでも小坂さんも後ろで粘っているし諦めるわけにはいかない。
後ろから見る辻浦もきつそうだ。あまり乗れていないのか?俺も後半の根性勝負になってきたあたりで前とのギャップがグッと近づいたのを確認。最後は追いつけなかったが、かなり差を詰めて3位でフィニッシュした。
今回、せっかくポントーニと走る機会があったのに、結局一度も「勝負」することなく終わってしまった。
彼の方が強いのは分かっている。世界選手権を2回も制した男、勝てるとは思っていない。
(もちろん走るからには勝つ意気込みで勝負しているが)
一体何のためにレースしていたのか・・・
しかし今日のレース、収穫がなかったわけじゃない。
オランダで行われる世界選手権の代表を視野に入れたトレーニングの成果は確実にあったと思う。それは自分でも確認できたと思っている。

まずは最初のシクロクロスでのピークとなる全日本選手権(12月11日)ここがまずは一つ大きなテストになるだろう。