№007 UCIポイント獲得 後編

2001年4月 Schelde Prijs(Belgium/1-1)
集団の前ではチームメートのファンハックが執拗なほどにアタック。これも俺がなかなか集団に戻れない原因だ。「何でこんなところで、こんな試練を受けなければならないんだ?簡単にポイントを取れる奴らはいとも簡単に取っているじゃないか?何で俺だけがこんな目に・・・」
そう心の中で叫び、泣きそうになりながら前を諦めずに追走する。
集団とのスピードもほとんど変わらない。やればできるじゃないか!!サポートカーの隊列のスピードと変わらないから、なんとか後ろに回り込めた。あとは集団まで上がるのみだ!
こういう時って言うのは、「火事場の糞力」ってやつで、いつも以上の力がだせるというもの。集中力も自分でも驚くほどに高ぶり、重いギヤも難なくまわってしまっている。

あと15メートルが詰められない。ナンバー1のサポートカーと集団の間は審判車なので、後ろには回り込めない。これがネックだ。ここで何度も力尽きかけるが、多くのチームカーが助けてくれた。
バタヴァス(ヨハン・カピオ:元TVM)
ドモ(ヘンドリック・ルダン:元TVM)
フラーンデレン(ジャンピエール・ヘンドリクス:元セディコ)
USポスタル(ディルク・デモル:元パルマンス:パリ〜ルーベ優勝経験者)
特にカピオとは選手時代に仲が良かったおかげでかなり助けられた。それにデモル。
うまく審判車から見えない死角を作ってくれ、ギリギリまで脚を温存させてくれた。

ラスト6キロ。集団はロットが列車を作ったその時、俺は集団に復帰。なぜかミュセウに誉められた。あとはすべての力を出し切り、ポイントゲットだ。
まわりの選手もあまり余裕が見られない。なんだか俺ってものすごく強いんじゃないか?俺はそんなに苦しくないぞ!そう思いながらゴールへ刻一刻と近づいている。そしてゴールへ。

ラスト700メートルでいきなり雨と風!一日晴れていたのに・・・。これって神風か?
俺はすべてのパワーを出し尽くしてはいるが、あとは気力でカバー。
前の方はどんどんスピードアップしてスプリントに備えるが、俺は後ろの方で前に上がるべくまわりの選手と闘っている。
ようやく前が見えたと思ったら、ラスト150メートル。

ゴールした瞬間、一体何位だったか分からない。即座に前の選手を数える。何となく30位ぐらいだ。多分30人以上はいないはず、いや、いないでくれ!そう思いながら更衣室へと向かった。

その日の夕方。インターネットで確認すると28位。ポイントゲットだ。
狙っていたレースでポイントを取れたので嬉しい。
しかし、もし前輪が潰れなかったら自分では10位前後まではいけたと思うのだが・・・。まぁそういうものだ。

世界ランキングは1,700位台から1,300位台へ一気にジャンプアップ。大、驚異の400人抜き。
ウルリッヒやアームストロングでもこんなに大きくはジャンプアップできないぞ!(そりゃそうだ。すでに一桁だから・・・)
目標としている1年50ポイントまであと45ポイント。何となく達成できそうな気がしてきた。